前回のコラムhttps://www.hoshi-law.com/column/post_75.htmlに引き続いて、専業主婦の休業損害を説明します。
休業損害の計算方法は、1日当たりの基礎収入×休業日数です。
今回は、専業主婦における休業日数の考え方です。
保険会社からの提案には、実際の入通院日数を休業日数とみなす例がよく見受けられます。
しかし、通院していない日でも、家事をすることができない日があります。
実際の裁判例は、後遺障害の程度、実際に家事に従事できた可能性などを個別に判断しています。
脊髄損傷などによって重度の後遺障害(1~3級)がのこった事案では、事故から症状固定日までの全期間を休業日数にカウントすることは、認められやすいといえます。
後遺障害4級以下のケースでは、症状固定より前で区切られたり、症状の改善程度に応じて割合認定されることが多いです。
例えば、事故で100日入院し、退院後6カ月間通院しましたが、後遺障害がのこりました。
入院100日間は休業日数と認めるが、通院期間は6か月のうち80%を休業日数とすることがあります。
症状の程度や通院の頻度(毎日通うわけではない)を考慮します。
後遺障害12級、14級のケースでは、もっと細かく認定する例が増えてきます。
例えば、入院はなく、10か月通院したとします。症状固定に近づくにつれて、通院の頻度が低くなりました。
当初の6カ月間は全日を休業日数と認められましたが、その後3カ月間は50%、最後の1か月は20%だけを認めるケースがあります。
このように、単純に入通院日数だけを基準とするわけではありません。
そうかといって、症状固定日までの全期間が休業日数とカウントされるのは、重度の後遺障害に限られます。
症状固定までの間の怪我の改善程度、実際に家事が行えたのかどうか、家族による従事割合といった事情を丁寧に見ていく必要があります。