室蘭市内で23日に予定されていた道内の視覚障害者らの卓球交流会が、盲導犬同伴で宿泊できるホテルが見つからないとして中止になっていたことが28日、分かった。身体障害者補助犬法は盲導犬受け入れを義務づけているが、会場近くの3軒のホテルは宿泊について拒否または即答を避けるなどしたため、主催者側が宿泊先確保を断念した。
北海道新聞2015年5月29日より
2002年に施行された身体障害者補助犬法という法律があります。
不特定かつ多数の者が利用する施設は、身体障害者が盲導犬を同伴することを拒否できません。
ホテルに限らず、レストラン、スーパーマーケットも対象です。
自治体の施設に限らず、民間の施設も同じです。
罰則はありませんが、当事者は行政に苦情を申し立てることができ、行政は必要な助言、指導を行うとされています。
今回のホテルは、「以前にペットを受け入れたときに掃除が大変だったから。」と釈明しているそうです。
確かに、身体障害者補助犬法が一般に周知されているかといえば、そうとは言えないかもしれません。
しかし、ペットと盲導犬を同視することに関して、「企業として本当にいいのか?」という疑問を持つべきです。
もっと漠然とした「違和感」「後ろめたさ」でもいいと思います。
そうした感覚を持つことができれば、上司に確認しようとするでしょうし、最終的に弁護士の判断を仰ぐこともできます。
重要なのは、法律を知識としてストックしておくことではありません。
身体障害者補助犬法では、「やむを得ない理由」があれば同伴を拒否することができます。
身体障害者には、盲動犬が公衆衛生上の危害を生じさせないようにする義務が課せられています。
もしも、盲動犬の衛生状態が極めて不良なケースでは、今度は、ホテルは宿泊客のために同伴を拒否することが求められます。
そうした判断は、マニュアルで対応できるものではないのです。